2014年3月3日

野鳥シリーズ⑧「よだか」

レポート83号のヨダカの切り絵と元の写真。無精髭の浪人の風情ですが、初めて賢治童話と出会った「よだかの星」の主人公です。70年入学の北大教養部が革マルのバリ封で授業が無く、人形劇サークルで「行動するかしないか」の連日の議論は、日本の順風満帆を信じていた私に衝撃でした。「よだかは実にみにくい鳥です」の冒頭や強者と弱者の狭間でもがく姿が自分と重なり「敗北的で子どもにみせられるか」と言う先輩を説得し影絵で上演したら音響が悪く大失敗。でもそれ以後、ぎこちなくも他者に尽す姿勢を貫いた賢治の世界が私を支えてきました。
今、東北震災後の日本を見た賢治が「もう俺を越えて行ってくれ」と叫んでいる気がします。どこか日本人の弱さを感じさせる童話のよだかが本物の鷹に「改名」を迫られ、耐え切れず高く鳴き叫んで翔け上り星になる姿は美しい。でもそれが戦さの星か平和の星かを描かなくてはならない時代がきたようです。<そねフェイブックより>

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